【コラム】治療の打ち切りに納得できない

事務員:交通事故の被害にあい、治療を続けているときに、任意保険の保険会社から治療の打ち切りを言われるというご相談がありますが、そもそも、治療の打ち切りとは何ですか。

弁護士:次のような事例を仮定して、説明します。
    Aさんは、自動車を運転し、赤信号で停車中、後ろからきた自動車に追突されました。

    Aさんは、整形外科に通院し、レントゲンを撮りましたが、骨には異常はありませんでした。
    Aさんは、首、肩、腰の痛みがあり、整形外科に治療し、痛み止めの薬を処方してもらったり、リハビリを受けたりしました。
    交通事故から3ヶ月ほど経過したときに、Aさんは、痛みが残っていたのですが、保険会社から、症状固定(しょうじょうこてい)と言われました。

弁護士:Aさんの交通事故では、通常、Aさんに過失がないと考えられるので、Aさんは、整形外科で治療を受けたときに、窓口で治療費を支払うことなく、整形外科が保険会社に治療費を請求することが多いと思います。
    これを任意一括対応(にんいいっかつたいおう)と言ったりします。

事務員:Aさんとしては、任意保険会社が、対応してくれている間は、治療費についての経済的な負担なく、治療を継続できるのですね。

弁護士:しかし、いつまでも治療を続けることができるわけではありません。
    治療を継続しても、症状が改善しない状況になります。
    このような状態を、症状固定(しょうじょうこてい)と言います。

事務員:症状固定になるとどうなるのですか。

弁護士任意保険の保険会社は、治療費の負担を止めます
    したがって、Aさんが、治療を継続したい場合には、通常、治療費は、自費になります。また、症状固定後の治療には、健康保険を利用する場合が多いと思います。

事務員:そうすると、症状固定がいつになるかは、Aさんにとって、大きな問題ですね。

弁護士:また、傷害慰謝料の算定について、交通事故時から症状固定時までの治療期間が金額を決める上での大きな要素となります。

事務員:保険会社は、何をもとに、症状固定時期の主張をしてくるのですか。

弁護士:医療機関は、通常、Aさんの同意のもと、保険会社に診断書、診療報酬明細書を定期的に送付しています。
    保険会社は、診断書、診療報酬明細書を精査したり、場合によっては、医療機関に照会をしたりなどして、症状固定の主張をすると考えられます。

事務員:そうすると、主治医の先生が患者さんの状況をどのように考えているか、ポイントになりそうですね。

事務員:ところで、弁護士さんは、示談交渉をしてくれるというイメージがあるのですが、治療終了時期についても、保険会社と交渉をしてくれるのですか。

弁護士:当事務所では、治療中からご相談を受けていますし、治療終了時期についても、保険会社と交渉をすることもあります。

事務員:治療中でも、弁護士さんに相談できるのですね。

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