子どもの逸失利益(男児)

交通事故の死亡事故において、死亡した被害者が男児の場合、その逸失利益について、どのように算定するのでしょうか。

この問題について、最高裁判所の裁判例のなかには、
「原審が、亡A(本件事故当時九歳の男児)の将来の得べかりし利益の喪失による損害賠償の額につき、賃金センサスによる男子労働者の産業計・企業規模計・学歴計の全年齢平均賃金額を基準として収入額を算定した上、ホフマン式計算法により事故当時の現在価額に換算したからといって、直ちに不合理な算定方法ということはできない。」旨判示したものがあります。

この裁判例では、死亡した将来の得べかりし利益の喪失による損害賠償の額は、個々の事案に応じて適正に算定すべきものである旨指摘しています。事案によっては、本件の原審の計算方法とは異なる計算方法を裁判所が採用する可能性もあります。

なお、上記裁判例は、平成2年の最高裁判所の裁判例です。平成11年11月22日、東京地方裁判所などの交通事故による損害賠償請求訴訟を専門的に取り扱う部の裁判官より、「交通事故による逸失利益の算定方式についての共同提言」がなされ、交通事故による逸失利益の算定における中間利息の控除方法については、特段の事情のない限り、年5分の割合によるライプニッツ方式を採用するとされています。

したがって、平成28年6月現在、特段の事情のない限り、ホフマン方式ではなく、年5分の割合によるライプニッツ方式により計算することになると考えられます。

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