高次脳機能障害

高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは、脳に外傷を受け、脳の組織などが損傷を受け、障害が生じることです。

高次脳機能障害の症状は、一見普通に見えても、交通事故の前と比べて、記憶力や集中力が低下したり、感情のコントロールができなくなって、他人と協調できなくなることなどがあります。

一見普通に見えるため、周りの人が気づきにくいことで対処が遅れることも多いので、少しでも可能性がある場合は、お早めにご相談ください。

後遺障害の等級認定について

高次脳機能障害の場合には、以下のような基準で後遺障害の等級が認定されると考えられます。

等級 後遺障害
1級1号
(別表第1)

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの。常に介護を要するものとは、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要する状態とされる。

高次脳機能障害においては、次のような考えが示されている。
身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回りの動作に全面的介護を要するもの。

2級1号
(別表第1) 

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの。随時介護を要するものとは、生命維持に必要な身の回りの処理の動作について、随時介護を要するものを指す。

高次脳機能障害においては、次のような考えが示されている。
著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。

身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの。

3級3号
(別表第2)

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの。終身労務に服することができないものとは、生命維持に必要な身のまわりの処理の動作は可能であるが、労務につくことができない状態とされる。

高次脳機能障害においては、次のような考えが示されている。
自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。

また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし、記憶や注意力、新しい ことを学習する能力、障害の自己認識、 円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの。

5級2号
(別表第2)

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの。

高次脳機能障害においては、次のような考えが示されている。
単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。

このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの。

7級4号
(別表第2)

神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの。高次脳機能障害においては、次のような考えが示されている。

一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの。

9級10号
(別表第2)

神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な限度に制限されるもの。

高次脳機能障害においては、次のような考えが示されている。
一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの。

高次脳機能障害の認定について

高次脳機能障害は外見上、障害が目に見えないため、後遺障害の中でも認定が難しいものの1つです。裁判になる場合もありますので、予め弁護士等の専門家に相談することをお勧めいたします。

以下には、後遺障害として認定されるためのポイントとなりうると思われるものを記載します。

①高次脳機能障害に精通した専門の医師に受診する
脳神経外科、整形外科だけでなく、神経心理学、リハビリテーションにも精通した専門の病院で診断を受ける必要があると思われます。

②画像の撮影
高次脳機能障害の可能性がある症状が現れた場合には、CT、MRIなどの画像の撮影が有効な場合もあります。事故から時間が経つと、異常を発見するのが難しくなる場合もあります。

③神経心理学的検査
脳の機能には、知能、言語、記憶力などがあり、どの機能の検査かによって、実施する検査が異なります。知能の検査が必要な場合には、WAIS-Ⅲ、長谷川式簡易痴呆スケールがよく用いられ、記憶力の検査が必要な場合には、WMS-R、三宅式記銘力検査などがよく用いられます。<b

④リハビリ
リハビリに通っていなければ、高次脳機能障害であることを示す客観的な資料が残らない場合もあります。医師の指導のもと、症状に適合するリハビリに通うことは重要と思われます。

⑤後遺障害診断書
リハビリに通うことは大切ですが、リハビリにも限界があり、その効果をあまり発揮しない時期が訪れます。症状が固定した場合、主治医に適切な時期に後遺障害として診断してもらう必要があります。

もちろん、後遺障害診断書には後遺障害の内容を具体的かつ正確に記載していただくなど適切に作成してもらう必要があります。また、神経系統の障害に関する医学的意見、日常生活状況報告等の書類の提出を求められると思われます。


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