損害賠償額の基準に注意!
損害賠償額には、
の3つがあります
1)自賠責保険の基準
自賠責保険とは、全員加入しなければならない保険で、人身事故のみに適用されます。
被害者の最低限の補償を行う保険ですので、この基準に従って損害額を算定すると、多くの場合、低額になります。
2)任意保険の基準
任意保険は、加入義務がない保険で、人身事故だけでなく、物損事故にも適用されます。
損害額は、多くの場合、自賠責保険の基準と裁判基準の間で算定しますが、自賠責保険の基準に近いのが現実です。
3)裁判の基準
裁判所の過去の裁判例に基づく基準です。
過去の交通事故に関する裁判の判例などを踏まえて、損害の内容ごとに基準が示されています。
実は、この裁判の基準は、一般に自賠責保険の基準や任意保険の基準より高額なのです。
保険会社から示談で提示される保険金(賠償金)は、1や2を基準にしていますので、裁判所の基準より低いことが多いのです。
「保険会社の人が言うのだから、そうなのだろう」とお考えになられたり、「早く終わらせたい」というお気持ちは良く分かりますが、本来受けられるはずの損害賠償金が受け取れないことになりがちです。
保険会社から提示された示談の内容に納得が出来ない場合は、弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士が介入した事例での示談金の違いをご紹介します。
1.50代女性、死亡事故の解決事例
賠償項目 | 示談交渉前 | 示談交渉後 | 増額分 |
---|---|---|---|
治療費 | 約458万円 | 約458万円 | – |
入院諸雑費 | 約1万円 | 約4542万円 |
約1707万円 |
休業損害 | 約412万円 | ||
傷害慰謝料 | 約3万円 | ||
遺失利益 | 約1634万円 | ||
死亡慰謝料 | 約1550万円 | ||
葬儀費 | 約100万円 | ||
既払額控除後の金額 | 約3293万円 | 約5000万円 | 約1707万円 |
※注 保険会社から内訳の明示がなかったので、個々の賠償項目の金額を特定できません。
>>>詳しくはこちら
2.40代男性、会社員の方で、後遺障害11級7号に該当する事例
賠償項目 | 示談交渉前 | 示談交渉後 | 増額分 |
---|---|---|---|
治療費 | 約108万円 | 約108万円 | – |
交通費 | 約9万円 | 約9万円 | – |
装具代 | 約5000円 | 約5000円 | – |
休業損害 | 約412万円 | 約412万円 | – |
入院雑費 | 約10万円 | 約10万円 | – |
傷害慰謝料 | 約112万円 | 約1269万円 |
約826万円 |
後遺症慰謝料 | 約331万円 | ||
後遺症遺失利益 | |||
既払額控除後の金額 | 約453万円 | 約1300万円 | 約846万円 |
※注 保険会社からいったん内訳の記載ある再提示を受けた後、交渉により更に増額になったので、個々の賠償項目の金額を特定できません。
>>>詳しくはこちら
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弁護士 寺部光敏
愛知県豊橋市出身 名古屋大学法学部を卒業後、弁護士となる。豊橋に根付いた寺部法律事務所の代表弁護士。20年以上の弁護士歴で得た豊富な経験を活かし、交通事故に苦しむ人を一人でも救うため弁護活動を行っている。
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