民法改正と交通事故における損害賠償

平成29年、民法が改正される見込みとなりました。
現行民法は、民事法定利率について、年5分と規定しています。
改正民法では、民事法定利率は、年3パーセントに引き下げられる見込みです。
その後、3年ごとに見直される変動制になる見込みです。
民事法定利率が変わると、後遺障害(後遺症)の逸失利益の金額が変わると考えられます。
現在の裁判実務では、後遺障害の逸失利益を計算する際、通常、基準となる収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応する民事法定利率(年5パーセント)のライプニッツ係数という形で計算をします。
例えば、逸失利益の年額を10万円、労働能力喪失期間を2年と仮定して説明します。
1年後の10万円の現在の価値は、年5パーセントのライプニッツ係数を乗じて計算すると、約9万5238円です。
2年後の10万円の現在の価値は、年5パーセントのライプニッツ係数を乗じて計算すると、約9万0702円です。
1年後に10万円を受け取ること及び2年後に10万円を受け取ることの現在の価値は、年5パーセントのライプニッツ係数を乗じて計算すると、合計約18万5940円です。
法定利率が、年5パーセントから年3パーセントに下がれば、1年後の10万円の現在価値は、先ほどの約9万5238円より高くなるはずです。
このように、基準となる収入、労働能力喪失率、労働能力喪失期間が同一であれば、法定利率が年5パーセントから年3パーセントに下がれば、後遺障害の逸失利益の金額は、増加すると考えられます。
今後も、民法が施行されるまでの間、民法改正が交通事故損害賠償の実務にどのような影響を与えるか学んでいきたいと思います。
交通事故の損害賠償について分からないことがありましたら、弁護士までご相談ください。

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