自動車どうしの交通事故で過失割合が10対ゼロになる場合は、どのような場合ですか?
1 はじめに
自動車同士の交通事故で、過失割合が、10対ゼロになるのは、どのような場合でしょうか。
10対ゼロになる場合、被害者の方は、どのような点に留意したらよいでしょうか。
2 過失割合とは
過失割合が10対ゼロの交通事故なのか、9対1の事故なのかでは、被害者の方にとっては、受け取る賠償金の金額に違いが生じます。
損害額が100万円の場合、過失割合が10対ゼロの場合、被害者の方は、100万円を受け取ることができますが、9対1の場合、100万円×0.9=90万円しか受け取ることができなくなり、10万円の差額が生じます。
したがって、過失割合によって、被害者の方には、大きな影響が生じます。
3 過失割合が原則として10対ゼロになる典型的なケース
(1)赤信号にしたがって停車中に後ろからきた自動車に追突されたケース
この場合は、赤信号にしたがって停車していたのですから、被害者の方には、通常、全く過失がないと考えられます。
(2)道路を直進していたところ、センターラインをオーバーしてきた自動車に衝突した場合
車両は、道路の左側部分を通行しなければならないことは、運転者にとって基本的なルールですので、道路の左側を通行していた車両には、センターラインをオーバーして走行してきた車両との関係で、通常、過失がないと考えられます。
(3)青信号にしたがって、交差点を直進したところ、信号無視をして交差点に進入してきた自動車と衝突した場合
道路を通行する車両は、信号機の表示する信号に従わなければならないことは、運転者にとって、基本的なルールですので、青信号にしたがって交差点に進入した自動車には、信号を無視して交差点に進入してきた自動車との関係で、通常、過失がないと考えられます。
4 過失割合が原則として10対ゼロにはならないケース
(1)優先道路を直進していたところ、信号により交通整理の行われていない交差点において、一時停止せずに交差点に進入した自動車と衝突した場合
このケースでは、優先道路を直進した自動車には、過失がないのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、原則として、10パーセント程度の過失が認められます。
(2)信号機により交通整理の行われていない交差点において、一方通行規制に違反して交差点に進入した自動車と衝突した場合
一方通行規制に違反して進行し、交差点に進入した自動車には、100パーセントの過失が認められると思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、原則として、80パーセント程度の過失が認められます。
5 10対ゼロの過失割合の場合のポイント
このように自動車どうしの交通事故で、被害者の方に全く過失がないケースは、きわめて限られた交通事故の類型になります。
10対ゼロの交通事故の場合、被害者の方は、ご自身で相手方保険会社と対応することになります。
もっとも、交通事故の被害者の方は、示談交渉が初めての経験という方が多いと思います。休業損害、傷害慰謝料、後遺障害逸失利益、ライプニッツ係数などの言葉は、聞き慣れない方が多いと思います。
6 まとめ
交通事故の被害にあった場合には、弁護士にご相談ください。
弁護士 寺部光敏
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