交通事故後に被害者の方が交通事故と無関係の原因により死亡した場合、将来の介護費用を請求することができるのでしょうか?

1 はじめに

  交通事故で重度の後遺障害を負った後、交通事故の被害者の方が交通事故とは無関係の原因により死亡した場合、将来の介護費用は、請求できるのでしょうか。

2 問題の所在

  交通事故の被害者の方が死亡した場合、死亡後の介護費用は、支出する必要はなくなります。

  一方、交通事故の損害賠償について、一時金賠償方式をとる場合には、交通事故後に生じた事由によって損害の内容は変わらないのではないかとも考えられます。

  後遺障害逸失利益については、交通事故の被害者の方が交通事故後に交通事故と無関係の原因により死亡した場合、死亡後の分についても損害賠償を請求をすることができると考えられます。

  そこで、どのように考えるか、問題となります。

3 裁判例

  最高裁判所の裁判例では、

  「介護費用については、以下の理由から事故後の死亡の事実を考慮すべきであるから、死亡後の請求は認められない。

  (1)介護費用の賠償は、被害者において現実に支出すべき費用を補てんするものであり、判決において将来の介護費用の支払を命ずるのは、引き続き被害者の介護を必要とする蓋然性が認められるからにほかならない。ところが、被害者が死亡すれば、その時点以降の介護は不要となるのであるから、もはや介護費用の賠償を命ずべき理由はなく、その費用をなお加害者に負担させることは、被害者ないしその遺族に根拠のない利得を与える結果となり、かえって衡平の理念に反することになる。(2)交通事故による損害賠償請求訴訟において一時金賠償方式を採る場合には、損害は交通事故のときに一定の内容のものとして発生したと観念され、交通事故後に生じた事由によって損害の内容に消長を来さないものとされるのであるが、上記のように衡平性の裏付けが欠ける場合にまで、このような法的な擬制を及ぼすことは相当ではない。(3)被害者死亡後の介護費用が損害に当たらないとすると、被害者が事実審の口頭弁論終結前に死亡した場合とその後に死亡した場合とで賠償すべき損害額が異なることがあり得るが、このことは被害者死亡後の介護費用を損害として認める理由になるものではない。

4 まとめ

  交通事故の損害賠償について、分からないことがございましたら、弁護士までご相談ください。

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